
2025/06月のyasuフェスにて、撒き菱+吹き飛ばし(以下昆布と呼称)の典型的な試合が発生した。
www.youtube.com金銀の対戦では性格や努力値配分がないため、ダメージ計算の結果は事前に全て分かってしまう。そのため選出段階はおろか構築段階でもタイマンの結果やサイクル戦の流れを想定することができる。知識には際限がないが、重要度が高いものだけでも覚えておくと、立ち回りの助けとなる。
はじめに
いきなりこんなことを書くと読む気がなくなってしまうかもしれないが、この記事に書いてあるような昆布がきれいに決まることは多くはない。カビゴン側が残飯や寝言を持つと難易度が上がるためである。特に寝言持ちの相手をするのは簡単ではない。
逆に言うと、55カビゴンは55サンダーを意識すると残飯や寝言が必要となる、ということの根拠となっている記事だと言えるかもしれない。
なお、サンダーではなくライコウなどに読み替えてもやや与ダメージが下がるだけなので基本は変わらないが、サンダーの火力でもギリギリな部分があるため、それ以下の火力のポケモンではより立ち回りがシビアになる。
基本となるダメージ計算
55サンダー→55カビゴン 10万ボルト
64~76/292(22%~26%)
急所非考慮96.24%で4耐え
サンダーからカビゴンへのダメージ計算で最も重要な覚えておくべきものは、「55サンダーの雷で50カビゴンがちょうど3発」である。
レベルを振ることで確定落としが確定耐えになることを知っておけば、ここから「55サンダーの雷を55カビゴンが3発耐え」も導ける。暗記が得意なタイプであればまとめて覚えてしまった方が早いが、苦手なタイプなのであればこのように関連付けて導出するのがよい。
ダメージ計算におけるレベルの影響は以下の記事でもまとめている。
1/3は1/4の4/3、すなわち1.3倍くらいなので、雷を3耐えするということは10万ボルトはほぼ4耐えするということである。3耐えは素眠りが間に合うラインで、4耐えともなると急所1回分の余裕がある。すなわち、カビゴンは同レベルのサンダーに対して、10万ボルトであれば眠るでほぼ確実に受かるということであり、サンダー側は何かしら工夫しないとカビゴンをいつまでも倒せないということ。
なお、カビゴンが残飯を持つと、5耐えまで視野に入る。ちゃんと計算していないが、ざっくり7割前後(急所非考慮)の確率で5耐えできる。
55カビゴン→55サンダー(めざ氷個体) 捨て身タックル
90~106/215(42%~49%)
捉え方は人によって異なるだろうが、私の感覚ではこれはサンダーがかなり固いことを示す結果である。サンダーはカビゴン前で2回ダメージを食らう権利があることが分かる。眠る+薄荷があれば3回までOK。
今回の内容とは直接関係ないが、他に55捨て身2耐えラインとして最も有名で知っておくべきものは、50カビゴン。50カビゴンは55捨て身に後出しして、もう一発捨て身を耐えながら自爆できるとんでもないポケモンなのだ。他には55ポリゴン2や55ガラガラ、50黄金ナッシーも55捨て身2耐えライン(ただしナッシーは乱数)。つまり50ガラガラは捨て身で2発。
50カビゴン→55カビゴン 自爆
288~339/292(99%~116%)
36/39で一発
カビゴンの自爆で最も覚えておくべきダメージ計算結果。55カビゴンより物理耐久の低いポケモンであれば、等倍なら漏れなく自爆で相討ちにできるということである。
低乱数を引かれると耐えられるということも覚えておくとなおよい。これが何を意味しているかというと、A個体値を妥協すると耐えられる確率が少しずつ上がっていくということである。厳選する時間がなければA14カビゴンなんかも採用を視野に入れてもいいかもしれない。
50パルシェン→50カビゴン 大爆発
236~278/266(89%~105%)
12/39で一発、撒き菱が一回入るとちょうど一発
50カビゴンに対する計算結果となっているが、こちらの方が使いやすいのでこの形で覚えておくとよい。レベル差が付くため、55カビゴンに対しては確定耐え。この結果を見ただけでも撒き菱の強さが分かる。
爆発の火力の目安は例えば以下が参考になる。パルシェンとナッシーはAが同じことと、ナッシーの爆発でナッシーがちょうど一発なことは覚えておくとよい。
undead-princess.hatenadiary.org
「昆布」とは何か
昆布という言葉が何を指すのかは実は難しい論点ではあるのだが、ここでは簡単のため撒き菱+吠える吹き飛ばしで定数ダメージを蓄積させる行動を指すこととする。
昆布の基本的な考え方は以下の記事でも書いたことがあるが、ここで改めてより丁寧に解説する。
はじめのダメージ計算結果より、以下のことが分かる。
①カビゴンに撒き菱が1回入るとHP256となるため、10万4発で倒せる。すなわち急所待ちできる。
②カビゴンに撒き菱が3回入るとHP184となるため、10万3発で倒せる。すなわち素眠りが間に合わない。
何かしらの方法で撒き菱ダメージを蓄積させることで、本来倒せないカビゴンをサンダーで倒せるようになるのである。
昆布の前提条件
最も分かりやすいケース(以下★とする)では、以下の態勢が整ったとき、昆布を始動することができる。
交代読みで吹き飛ばしを打つ、という立ち回りをイメージしていた人がいるかもしれないが、サンダー側は基本的に読みを通すということは少ない。交代読みをするにしても、9割方交代するだろうという場面で行う。圧倒的有利対面だからこそ安全に交代読みをする余地が生まれる。有利な択をひたすら押し付け続けることが崩しにつながる、というのが昆布の強さの本質である。
サンダー対Aの対面では、10万が直撃するとAは落ちてしまう。そのためカビゴンに引くしかない。この交代に対して吹き飛ばしを合わせれば、撒き菱ダメージだけ入れて最初の対面に戻すことができる。また、サンダー対カビゴンの対面で吹き飛ばしをすることでサンダー対Aの対面を作ることができる。捨て身を2耐えする耐久があることから、捨て身を食らいながらでも吹き飛ばしをして対面操作する立ち回りが行いやすい。
吹き飛ばしで余計な3体目が出てくることを防ぐために、相手の手持ちを2体まで追い込んでおくことが望ましい。
一枚残しに対する回答
上記の条件では、もはやAを取っておいても仕方ないとして、Aを切ってラス一カビゴンに懸けてくる動きも考えられる。手持ちが一体であれば吹き飛ばしは食らわず、撒き菱ダメージもこれ以上食らわなくなる。Aを切って死に出しでカビゴンを繰り出し、最後の撒き菱が入るもののそこから鈍いを積んで反撃を狙うことができる。
この動きに対する回答はしっかり用意しておかなければならない。分かりやすい例は、鈍い+爆発、もしくは滅びの歌である。パルシェンを採用する場合、補助技としてはリフレクターが最もポピュラーであるが、一枚残しを意識するのであれば鈍いも候補に入れたい*1。
吠えループ
撒き菱とは関係なく、眠るで粘ってくる相手を崩すのに吹き飛ばしは有効である。カビゴンのようにサンダーが上を取っているポケモンに対して、打ち合いは以下のように進行する。
表の中央列の矢印は先手後手を表現している。
| サンダー | カビゴン | |
| 10万 | → | 眠る |
| 10万 | → | ぐう |
| 10万 | → | ぐう |
| 10万 | → | 目を覚ます 眠る |
| 10万 | → | ぐう |
ゆえに3耐えできれば素眠りが間に合う。
ここで、眠るタイミングで吹き飛ばしを合わせることができれば以下のような進行(以下◆とする)となる。
この場合は眠るから次の眠るまでの間にカビゴンは4発攻撃を食らうこととなる。素眠りが成立する被弾回数が一回増えることとなる。これは吹き飛ばしてから交代際に一発攻撃が入ることにより、疑似的に眠るターンのみ先手後手が入れ替ったような形となるためである。
そのため、撒き菱関係なく4発で倒せる相手には急所待ちせずとも倒せる。5発かかる相手にも急所待ちができる。この動きを俗に吠えループという。
なお、カビゴンではなくライコウのように、元々サンダーに先手を取れるポケモン相手ではこのテクニックは使えない。
吠えない昆布
逆に撒き菱があって吠える吹き飛ばしがない場合、交代読みを駆使すれば昆布相当の動きができる。
例えばサンダー+パルシェンvsカビゴン+スターミーの並びを考える。パルシェンは爆発の圧力でカビゴンを流せて、スターミーはパルシェンに後出しでき、スターミーはサンダーから引かざるを得ない。このとき、撒き菱を使えていれば、交代読みを2回決めることができれば撒き菱ダメージを蓄積させられる。
これにより、初ターンに10万を使ったのと同じ結果になりつつも撒き菱ダメージを一度入れることに成功した。極論これを延々と繰り返せば撒き菱ダメージをどんどん与えられる。
ただし、これまでに挙げた動きと比べて読みのシビアさは増すため安易に多用できるものではなく注意が必要。また、残飯を持たれていると撒き菱ダメージが帳消しとなるので意味がない。
昆布+吠えループ
ここまでのテクニックを組み合わせるとよりサンダー側は崩しやすくなる。
(★)のケースで(◆)のように立ち回ると、撒き菱ダメージが一回入るため、①のダメージ計算結果から急所待ちをせずとも倒せる。残飯を持たないカビゴンはこれで簡単に崩せてしまう。
残飯持ちの場合、ひたすら吹き飛ばしを繰り返すと以下のような進行となる。
| サンダー | カビゴン側 | |
| 飛ばし | ← | 眠る |
| 10万 | ← | 交代 A→カビゴン |
| 飛ばし | ← | ぐう |
| 10万 | ← | 交代 A→カビゴン |
| 飛ばし | ← | ぐう |
| 10万 | ← | 交代 A→カビゴン |
| 10万 | → | 目を覚ます 眠る |
| 10万 | → | ぐう |
これで撒き菱ダメージも残飯回復も3回入る。292-36*3+18*3=238であるため、10万4発で倒せ、吠えループの原理で倒せるようになる。実際には撒き菱1回分余分であるため、ぐうぐう中の飛ばしは一回でよい。
ポイントはここまでの立ち回り例の中で、サンダー対Aの対面からの交代読み吹き飛ばしは一度も出てきていないということである。
カビゴン側にできること
ここまでの流れではカビゴン側がやりたい放題されてしまっているので、どうすればこのような展開を防げるかも簡単に考える。
残飯や寝言を持つ
少なくとも、残飯も寝言もないカビゴンは簡単に崩される。地震+薄荷のような構成だとそうなってしまうのだが、これは対サンダーでの隙となることは理解しておかなければならない。昆布に限らずいばみが型を相手にする場合であっても厳しい。
寝言があれば寝ながら捨て身で削ったり眠るで復帰したりできるので、安定感が増す。
サンダーの起点になるポケモンを入れすぎない
簡易化したケース(★)では、サンダーに縛られているポケモンがいるがゆえに立ち回りが大きく制限されてしまっている。レベル50のポケモンで10万を2耐えすることは簡単ではないが、一発でも耐えて補助技や爆発を使えるポケモンを入れたり、電気の一貫を切ったりと、少しでもリスクを与えられる要素を加えたい。
55カビゴンと組みたいポケモンは不思議とサンダーに弱いことが多い。そのため構築段階で注意したい。
二対二の展開を簡単に作らせない
サンダーに不利なポケモン+カビゴンの状態まで追い込まれるとかなり不利になってしまう。そのためカビゴン側は残数を簡単に減らさないことも大切である。爆発を絡めて二対二に持ち込まれることが多いので、半減や無効になるポケモンを入れるなどして、簡単に爆発を通させないことが考えられる。
高速スピン
昨今ではあまり採用されないが、明確な対策技。スターミーなどに持たせればパルシェンに対して後出しすることで、カビゴンに撒き菱ダメージが入らなくなる。とはいえ汎用性が高くはない技に1枠割くことになるので、あまりオススメはできない。
*1:ただし鈍いがあってもややダメージが怪しい点には注意